第43回年次大会 2009年6月6日~7日(津田塾大学)
アメリカ学会 第 43 回年次大会プログラム
1. 月 日 2009 年 6 月 6 日 (土)・ 6 月 7 日 (日) 2. 場 所 津田塾大学小平キャンパス 〒187-8577 東京都小平市津田町2-1-1 3. 受付 5号館1階ロビー第 1 日 6 月 6 日 (土曜日)
第1日 自由論題 第 1 報告 (9:30~10:05) 第 2 報告(10:10~10:45) 第 3 報告 (10:50~11:25) 第 4 報告 (11:30~12:05) 自由論題 A [5101教室] 司会 倉科一希 (国際教養大学) 渡辺敦子(日本学術振興会特別研究員)「テロ対策とプライバシー権の保護をめぐる政策過程」 西川賢((財)日本国際問題研究所) 「1950年代の共和党内部における保守派と穏健派の対立にする一考察:1952年の共和党大統領候補指名をめぐって」 向井洋子(筑波大学(院)) 「制約されるアメリカ大統領――ニクソンの福祉制度改革をめぐって」
自由論題 B [5102教室]司会 久田由佳子 (愛知県立大学) 三牧聖子 (東京大学(院)) 「第二次大戦後アメリカにおける世界政府運動――「一つの世界(One World)」論の批判的考察」 加藤(磯野)順子(日本大学(講))「最後の連邦脱退州テネシー」 河野利佳子(東京外国語大学(フェロー))「日米の架け橋――帰米二世の理想と現実(1935-1942年」 野村達朗 (愛知県立大学(名))「4L(樵・材木業者忠誠団)――大戦、陸軍、IWW,飛行機」
自由論題 C [5206教室]司会 椿 清文(津田塾大学) 白戸朝子 (津田塾大学(院)) 「日系二世たちの戦争体験――ジョン・オカダ『ノー・ノー・ボーイ』」 木下なつき (北海道大学(院)) 「交錯する企業組織と社会組織――ゴールデンステイト・ミューチャル生命保険会社とNAACPロサンジェルス支部(1940年代-1960年代)」 藤巻光浩 (静岡県立大学(院)) 「先住民族博物館の人権化の可能性の模索?米国立インディアン博物館の場合」
自由論題 D [5201教室]司会 吉田美津(松山大学) 沖野真理香 (神戸大学(院)) 「Mart Crowley, The Boys in the Band再読――Angels in Americaとの比較を通して」 鰐淵秀一 (東京大学(院) /日本学術振興会特別研究員) 「礼節と社交の文学としての『フランクリン自伝』」 滝澤真理子 (津田塾大学(講))「ウィラ・キャザー――自然主義とベルクソン哲学」
昼食 (12:15~13:15) [記念館・大学ホール]
理事・評議員会 (12:15~3:15) [大会議室]
映画上映(12:15~13:45)会場 [特別教室] "Lifers: Reaching for Life beyond the Walls," Produced & Directed by Kaori Sakagami (『ライファーズ 終身刑を超えて』監督 &プロデューサー 坂上香)
ASA会長講演 (14:00~15:00) [特別教室] 司会 有 賀 夏 紀 (埼玉大学) Speaker: Philip J. Deloria (University of Michigan, President of ASA) 〝Toward an American Indian Abstract: Mary Sully's Vision of Mid-Twentieth-Century American Culture″
シンポジウム (15:10~17:40) [特別教室] Symposium American Studies at a Crossroads (岐路に立つアメリカ研究) Chair: Fumiko Fujita (Tsuda College) Panelists: 【China】Biao Yang(East China Normal University) 〝The Studies of American History in China: An Evolution″ 【Korea】Bong Joong Kim (Chonnam National University) 〝On the Teaching and Writing of American History in Korea: Past, Present and Future″ 【Japan】Fumiko Nishizaki (Seikei University) 〝Images of America in Contemporary Japan: A Historical Perspective″ Commentators: Michael Ackland (Visiting Professor, The University of Tokyo: Monash University, Australia) Hiroshi Okayama (Keio University)懇親会(18:00~20:00) [記念館・大学ホール]
第2日 6 月 7 日 (日曜日)
部会 A 大統領選挙からみるアメリカ社会 [5101教室](9:30~12:00) 司会 安岡正晴 (神戸大学) 報告者 中山俊宏 (津田塾大学)「2008年大統領選挙に見る政治的座標軸の変動―共和党の敗北を手がかりに」 武井寛 (一橋大学(院)) 「ポスト公民権運動時代のアフリカ系アメリカ人社会とバラク・オバマ」 喜多千草 (関西大学) 「インターネットと選挙――オバマの選挙サイトの解析から」 コメント 兼子歩 (長野県短期大学)
部会 B 監獄人口の激増とアメリカ社会[5102教室](9:30~12:00) 司会 上杉 忍 (横浜市立大学) 報告者 大辻千恵子(都留文科大学)「脱福祉政策としての『麻薬との戦争』――マイノリティー女性収監者の激増に注目して」 高廣凡子(同志社大学(講))「貧困と人種の犯罪化に抗して――受刑者運動に見る監獄社会カリフォルニアの実相」 坂上 香 (津田塾大学) 「ファーマン判決以降の死刑と大衆文化――『国家殺人』のノーマライゼーションから批判的眼差しへ」 上杉 忍 「アメリカ南部における囚人貸し出し・チェインギャング制度と今日の監獄労働」 コメント 大塚秀之 (北海学園大学)
Workshop A [Room 5206](9:30~12:00) 〝How Change Happens I: As Seen through the Social Sciences and American Studies″ Chair: Yasuharu Ishizawa (Gakushuin Women's College) Panelists: Susan J. Douglas (University of Michigan)
〝Fantasies of Power: The Mass Media and the Status of Women in the United States″ Seongbin Hwang (Rikkyo University) 〝The Meaning of 'Obama Boom' in Japan: Change of What? ″ Noriko Hirabayashi (Saitama University) 〝Branding Obama as the'Change'Agent: A Political Marketing Perspective on the 2008 Presidential Campaign and Beyond″ Commentator: Teck-young Kwon (Kyung Hee University, President of ASAK)
分科会 (12:10~13:30) および昼食 (分科会の内容については,以下の資料を参照)
[本館1-2階の9教室] 総会(13:30~14:00) [特別教室]
部会 C 人と人との絆が築く国際関係―日系人の視点からみた日米関係 [5101教室](14:10~16:40) 司会 島田法子 (日本女子大学) 報告者 足立聿宏 (関西外国語大学)「ハワイ日系MIS語学兵―人生を変えた太平洋戦争と日本語」 小澤智子 (武蔵野美術大学)「MISに加わった二世と彼らの日本「進駐」」 粂井輝子 (白百合女子大学)「「祖国想ふそばで我が子の米国歌」―川柳が描く日米の狭間」 コメント 森本豊富 (早稲田大学) 部会 D 変化の深層を読む―ディストピア、ユートピア、アメリカ[5102教室](14:10~16:40) 司会 伊藤詔子 (松山大学)
報告者 地主敏樹 (神戸大学) 「アメリカ金融危機の根源――ユートピア的目標とディストピア的結末」 前川玲子 (京都大学) 「ユートピア/ディストピアをめぐる20世紀の知的言説―― Lewis Mumford, Karl Mannheim, George Orwellを中心に」 波戸岡景太(明治大学)「誰がオープンスペースを歌うのか――ネヴァダのネイチャーライティング」 山本秀行 (神戸大学)「多文化主義のユートピア的《ヴィジョン》を超えて――9/11以降のアジア系アメリカ人の演劇とアクティヴィズム」 コメント 杉田米行 (大阪大学)
Workshop B [Room 5206](14:10~16:40) 〝How Change Happens II: As Seen through Arts, Humanities, Cultural Studies, and American Studies″ Chair: Ken Chujo (J.F. Oberlin University) Panelists: Kazuteru Omori (Tsuru University) 〝Blind to Race or Racism?: The Ideological Origins of Color-Blind Idealism-Turned-Conservatism″ Imani Perry (Rutgers, The State University of New Jersey) 〝Racial Inequality as Cultural Practice″ Woosung Kang (Seoul National University) 〝Guilt and Fear in Racial Unconscious: The Ideological Representation of Korean War in American Culture″ Commentator: Philip J. Deloria ( University of Michigan, President of ASA)
5. 1) 懇親会は事前の申し込みが必要です。 懇親会費 6,000 円は同封の払込用紙にて 5 月 6 日までにご納入下さい (期日厳守)。払い込まれた懇親会費はいかなる事情があってもお返しできませんので,ご注意ください。 2) 年会費の当日払いは受け付けられませんのでご了承ください。 3) 非会員の大会参加費は 1,000 円です。 会場受付にてお支払いください。
6. 昼食 両日とも、大学ホール内のカフェテリアが利用可能ですが、数に限定があります(学生食堂は営業いたしません)。お弁当を希望される場合は事前の申し込みが必要です。土日両日とも希望される場合は2000円を、土日いずれかの場合は曜日を明記の上1000円を、同封のお弁当用の振り込み用紙にて5月6日までにご納入ください(期日厳守)。払い込まれたお弁当代はいかなる事情があってもお返しできませんので、ご注意ください。分科会のご案内
( ) は責任者、会場はすべて,本館の1階、2階の教室です。 1.アメリカ政治 (中野博文 (北九州市立大))[本館201] テーマ: 「アメリカ政治の地殻変動」 報 告: 前嶋和弘(文教大学)「アメリカの政治報道の変化とその影響」 報 告: 川上耕平(北九州市立大学(講))「冷戦初期アメリカにおける保守主義―ロバート・A.タフトの政治思想」(仮題) オバマ民主党の歴史的勝利の一因は、ブッシュ政権期に共和党保守政治が臨界点に達したことにあるのではないか。前嶋報告は、保守派メディアのさらなる顕在化とそれに対するリベラル派メディアの復権、そして、両者の政治的偏向を指摘する「メディア監視団体」の台頭に注目する。そして、政治報道の変化が政治参加に与える可能性について論じる。川上報告は共和党保守主義の源流を探り、冷戦初期、民主党と対抗したR・タフトの政治理念をみることで、民主党リベラル内部のイデオロギー的布置状況が共和党に与えた影響と共和党内の多様な保守主義について検討する。本分科会では、メディアと政治理念を切り口としてアメリカ政治の構造変化を論じたい。
2. 冷戦史研究 (松田 武 (大阪大学)) [本館126] テーマ:「1950年代初頭の下院議会調査委員会とカーネギー財団―冷戦初期のアメリカ政治文化に関する一考察」 報 告: 佐々木 豊(相愛大学) 本報告は、国内冷戦=「赤狩り」旋風下の1950年代初頭、主要財団の助成活動の内容・方針を調査することを目的に米国議会下院に設立された二つの特別調査員会(カックス及びリース委員会)の活動に対するカーネギー財団の対応を、「公益」を主体的に推進する民間組織と公権力との間の緊張・対立という視点から検討を加える。反共保守派はカーネギー財団による一部の助成活動が「非アメリカ的」「体制転覆的」であると非難したのに対し、財団側は自らの活動こそが「アメリカ的伝統」に忠実なものであるという反論を行った。報告では、このような反共保守派と財団側との間で交わされた言説上のせめぎ合いの分析を通じて、両者の論争の核心には、ニューディール期以降の内外の政治社会秩序のビジョンをめぐってリベラル・エスタブリッシュメントと保守派の間で行われた一種の文化的ヘゲモニー闘争があったことを明らかにしたい。
3. 日米関係 (川上高司 (拓殖大学))[本館127] テーマ: 「オバマ政権の軍備管理軍縮政策と日米関係」 報 告: 佐藤丙午(拓殖大学)「オバマ政権の不拡散政策と核軍備管理軍縮」 秋山信将(一橋大学)「核軍備管理軍縮と日米同盟」 向和歌奈(東京大学院)「核兵器と日米関係」 有江浩一(拓殖大学) 「アメリカの対西独拡大抑止」 司 会: 川上高司(拓殖大学) オバマ政権は、核廃絶を政策として掲げその詳細は「核態勢見直し報告(NPR)」で発表予定である。オバマ政権の不拡散政策と核軍備管理軍縮は世界にとり大きな関心事である。また同時に日本にとっても、米国の拡大抑止の有効性の面から安全保障の根幹をなす重大問題である。本分科会では、このような現状を踏まえオバマ政権の核戦略がどのように日米関係に影響を及ぼすかを論じる。
4. 経済・経済史 (柳生智子 (慶応義塾大学))[本館125] テーマ: 「企業優遇策を通じた地域経済の環境配慮型への転換」 報 告:原口弥生 (茨城大学) 以前より企業への財政支援や税控除プログラムを提供する州はアメリカ国内でも珍しくなかったが、その質・量ともに急激に拡大するのは1980年代を通してである。1980年代後半からは政策の検証が進み、この企業誘致・優遇プログラムを確実に地域の経済発展に結びつけるために、ニューヨーク州やイリノイ州を始めとして、企業に一定の条件を課すような州も出現している。この企業誘致・優遇プログラムに対する姿勢や評価は、それぞれの地域や事例、また各主体の立場によって大きく分かれるのだが、なかでも、汚染型産業に対する税優遇措置に対しては、一部の地域住民や環境団体から強い反発がある。本報告では、1980年代以降にみられる汚染型産業への企業誘 致・優遇策に対する抵抗の意味とその背景、そして1990年前後のルイジアナ州において短期間ではあるが実施された、企業優遇策を通じた地域経済の環境配慮型への転換策について考察する。
5. アジア系アメリカ人研究 (野崎京子(京都産業大学))[本館210] テーマ: 「都市の中の日系人 ? 多文化社会ニューヨークと L.A.に見る」 報告者: 飯野朋美(津田塾大学(院)) 寺澤由紀子(明治大学文学部兼任講師 ) 1)「ニューヨークにおける日本人・日系人コミュニティの形成」 ニューヨークへの日本人の流入は、アメリカ西海岸への移民と同じく、19世紀終わりに始まった。日系人会の設立から100年を経て、日本人・日系人を取り巻く環境は歴史のなかでさまざまに変化し続けている。日系人と日本人をつなぐ試み、世代を超えた長期滞在者の連帯、子どもたちへの日本文化の継承など、ニューヨークの日本人・日系人が抱える問題とコミュニティの形成について考察する。(飯野朋美) 2)「ロス暴動と"people watching"」 Karen Tei YamashitaのTropic of OrangeとAnna Deavere SmithのTwilight Los Angeles, 1992を取り上げ、Tropic中の登場人物Emiが行う「窃視」を示す言葉である"people watching"について、カメラアイとヒューマンアイそれぞれによる形態を比較考察する。そして、LAにおける2つの暴動を通して、他者を見つめること、他者を通して何かを見つめること、想起することの意味を考える。(寺澤由紀子)
6. アメリカ女性史・ジェンダー研究 (栗原涼子)[本館202] テーマ:「白人奴隷制研究の動向と課題」 報告者: 森田麻美 (一橋大学(院)) アメリカにおける白人奴隷制に関しては、1960年代後半以降、研究者の間で注目されるようになった。80年代には、白人奴隷制が神話かそれとも実在したのかをめぐり議論がなされた。そしてそれ以後、白人奴隷制を神話と捉える立場から、改革運動のなかで示されてきた白人奴隷制のイデオロギーや言説の分析がなされるようになった。これらの研究では、白人奴隷制廃止運動が既存の秩序や規範を維持もしくは再編したこと、白人奴隷制問題への対処を口実に、国家が人々のセクシュアリティを規制する役割を負うようになったことなどが指摘されてきた。また、近年では、革新主義との関連で多方面から考察がなされるとともに、1910年に制定された白人奴隷取引法という連邦法の影響についても検証されている。そこで本報告では、白人奴隷制研究の発展について最近の成果を題材に論じ、白人奴隷制研究が抱える問題と展望について考察したい。
7. アメリカ先住民研究 (佐藤円 (大妻女子大学)) [本館211] テーマ: 「先住アメリカ人と黒人解放民に関する研究の動向と今後の展望―南北戦争後のインディアン・テリトリーの事例を中心に」 報告者: 岩崎佳孝(立教大学アメリカ研究所客員研究員) アメリカ史をより多元的に捉えるためにマイノリティ間の関係性に目を向ける試みとして、南北戦争によって「解放」されるまで先住アメリカ人に所有・使役されていた元黒人奴隷とその子孫を指す「黒人解放民(Freedmen)」についての研究動向を、黒人奴隷制度を積極的に導入していた「文明化された五部族」と黒人解放民に係る研究を中心に報告する。さらに、黒人解放民研究の今後の方向性についても、報告者の展望を可能な限り述べたい。
テーマ: 「アメリカ先住民と1960・70年代」 報告者: 内田綾子(名古屋大学) 近年、アメリカ現代史における1960・70年代の再考とともに、この時期のアメリカ先住民についてとらえなおす研究が増えてきた。先住民の意識覚醒や社会運動、連邦政策の移行は、当時の黒人運動やアメリカ社会の変容と深く関わっていた。そして、その軌跡は今日、先住民をめぐる状況に影響をもたらしていると言えよう。本報告では、1960・70年代のアメリカ先住民に関する主な著作をとりあげながら、最近の研究動向を検討したい。
8. 19 世紀史 (田中きく代 (関西学院大学)) [本館215] テーマ: 一昨年からのテーマである「長い19世紀」に関する分科会である。 報告者: 藤本茂生 (帝塚山大学) 朝立康太郎 (東北大学専門研究員) 常松 洋 (京都女子大学) 1)藤本茂生―「長い19世紀」と子ども史― 2)朝立康太郎―奴隷主国家から「自由」な国家への転換―合衆国憲法修正13条の歴史的理解を巡って― 3)常松洋―「長い19世紀」とアメリカ社会史― このテーマでの最後の分科会である。「長い19世紀]についての共通理解をさらに深めたいので、19世紀に関心を持たれている多くの方々に、ご参集をお願いしたい。
9.初期アメリカ (橋川健竜 (東京大学)) [本館213] 北米植民地における、先住民とイギリスからの入植者との接触をとりあげる。2本の報告をつうじて、初期アメリカにおける先住民表象にアプローチしたい。増井志津代がエリザベス朝期の先住民と入植者の接触と先住民表象を、橋川健竜が18世紀ブリテン帝国のヒエラルキーにおける入植者・先住民の位置づけを取り扱う予定である。